高齢者施設を建てるときの注意点!失敗しないための基礎知識!

2025年には団塊の世代が全員75歳以上を迎えます。
これによって5人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上になるという超高齢社会に突入していきます。

この急速に進む高齢化に対応するべく、高齢者のための施設が多く建てられています。

高齢者のための施設には、「特別養護老人ホーム」「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」などいろいろと種類があります。

今回はその中でも、一般の方でも建てやすく、需要の多い「サービス付き高齢者向け住宅」についてご説明いたします。

国は、サービス付き高齢者向け住宅を2030年までに60万戸を目指しており、それだけ高齢者が増えることが予想されているため需要があります。

また、サービス付き高齢者向け住宅の建築に関しては補助がでることもあって建てやすく、土地の有効活用法として地主様に提案されることがあったり、余っている土地をなんとかしたいと思い建築を検討される方も多いです。

 サービス付き高齢者向け住宅は今空室が多い?

超高齢社会を迎え高齢者向けの施設が急増しています。

中でも、サービス付き高齢者向け住宅は地主の方たちの間でも注目されており、「うちの土地で高齢者の施設を建てたいと思っている」とご相談に来られる方もいらっしゃいました。

確かに、高齢者の数は年々増加しており、核家族化も進んでいるためサービス付き高齢者向け住宅の需要はあります。

しかし、それでも空室が目立つ施設があるのも事実です!

その原因としては、

  • 周辺で同じような施設が多くなっている
  • 宣伝が不十分であまり知られていない
  • これといった特徴がない

などが挙げられます。

一見当たり前の事のように思えますが、この当たり前のことができていないために「建てたけれども入居者が思ったほど入らない…」ということになり空室が多くなっているのが現状です。

 なぜサービス付き高齢者向け住宅を建てる人が多いのか?

サービス付き高齢者向け住宅を建てる方が増えているのはなぜでしょうか?

それは、普通のアパートやマンションには無い、建築工事に対して補助金が出たり、固定資産税や不動産取得税が減額されるなどの優遇を受けられるということです。

また、国も平成22年から平成32年の10年間でサービス付き高齢者向け住宅を60万戸に増やすという国の方針でもあります。

建築費の補助

サービス付き高齢者向け住宅新築に関する補助として、

  1. 新築工事にかかる費用の1/10
  2. 住戸面積が 30 ㎡以上かつ基本設備が設置されている住宅の場合(夫婦型サ高住)
    1住戸あたり135万円以内
    住戸面積が 25 ㎡未満の住宅の場合
    1住戸あたり110万円以内

というもので、1・2もどちら満たした金額が補助金としてでることになります。

例えば、1億円のサービス付き高齢者向け住宅を建て、中身は30㎡の部屋が10戸と25㎡未満の部屋が5戸としましょう。

この場合の補助金の金額の計算は、

  1. 1億円の1/10で、1000万
  2. 135万(30㎡以上の部屋) × 10戸 + 110万(25㎡未満の部屋) × 5戸 = 1900万ということになります。

1<2となっているので、補助金の額は、1000万となります。

税金面での優遇

税金面での優遇は、固定資産税と不動産取得税の2つで受けることができます。

固定資産税

固定資産税は、「5年間の固定資産税の2/3を、1/2以上5/6以下の範囲内において市町村が条例で定める割合を減額する」とされています。

例えば、固定資産税が5年で1800万円かかったとすると、その2/3の1200万円の内、市町村の条例で600万円(1/2)以上、1000万円以下の範囲内で減額されるということです。

この優遇を受けるには、要件があります。
それが、以下の4つです。

  1. 床面積: 30㎡以上/戸(共用部分含む。一般新築特例は40㎡以上/戸)
  2. 戸 数: 10戸以上
  3. 補 助: 国又は地方公共団体からサービス付き高齢者向け住宅に対する建設費補助を受けていること
  4. 構 造: 主要構造部が耐火構造又は準耐火構造であること 等

不動産取得税

不動産取得税については、一般新築住宅の特例と同様です。

建物:(固定資産税評価額 - 1200万)×3% =不動産取得税

土地:(固定資産税評価額 × 1/2 × 3%) - ※控除額 = 不動産取得税
※控除額は、45,000円か、もしくは(土地1m2当たりの固定資産税評価額 × 1/2)×(課税床面積 ×2(200m2限度)) × 3%の計算で求めた金額の多い方が適用されます。

という計算で減額されます。

このような補助金等の優遇を受けられること、また地域の高齢者のための「社会貢献」にもなるという2つの面で地主様などに選ばれているということが、サービス付き高齢者向け住宅が急速に増え続けている理由でしょう。

 失敗しないためのポイント

注意点として、これまでご説明してきた「補助金」や「税制面での優遇」を使ってサービス付き高齢者向け住宅を建てるのは良いのですが、「建ててからの入居者募集」や「入居者に対するサービスの提供をどうするか」などが上手くできないと結局は空室がでてしまい建てたのに運営がうまくいかないという状況に陥ってしまうことです。

コンサルタント会社の言うことを鵜呑みにしない

地主様方は、コンサルタント会社などから「補助金を使って建てませんか」などの営業を受けることもあるかと思います。

そこで失敗しないために注意していただきたいのが、その会社は提案だけなのか、それとも運営してくれる会社を見つけてくれたりサービス付き高齢者向け住宅を何棟も建てたことのある建設業者を紹介してくれるのか、ということです。

提案だけであれば、サービス付き高齢者向け住宅を建ててしまうところまでで、その後入居者が付いても付かなくても、運営が上手くいかなくなっても関係ありません。

もちろん全てのコンサルタント会社がそうというわけではありません。

しかし、サービス付き高齢者向け住宅や介護事業について十分な知識がない方は、特に提案のみの会社の言うことを鵜呑みするのは危険です。
ちゃんとアフターフォローまでしてくれる会社を選ぶようにしましょう。

運営会社は経験豊富な所を選ぶ

サービス付き高齢者向け住宅の入居者に対するサービスなど、入居後の運営を任せる会社選びも重要なポイントです!

運営してくれる会社自体は、数多くあります。
しかし、その会社が上手く運営できるかどうかは別問題です。

「運営したい」「任せてもらえないか」という手を挙げる運営会社がいたからといって安易に任せないというのが、サービス付き高齢者向け住宅経営で失敗しないためのポイントです。

運営したいという会社がいた場合、その会社が他にもサービス付き高齢者向け住宅の運営をしたことがあるのかを確認したり、そのサービス付き高齢者向け住宅の運営は上手くいっているのか実際に見に行ったりしておくといいでしょう。

手間に感じるかもしれませんが、サービス付き高齢者向け住宅経営で成功するためには重要です。

入居者の募集を依頼のは不動産屋ではない

もし、サービス付き高齢者向け住宅を建てたとしたら入居者の募集はどうしますか?

「高齢者は増えているんだから建てれば勝手に入る?」「入居募集と言えば、不動産屋?」

このように思われている方は危険です。

高齢者は確かに年々増加していますが、「ここにサービス付き高齢者向け住宅ができましたよ」と周知しなければ入居者は集まりません。
また、「入居募集と言えば不動産屋」というのもわからなくはないですが、不動産屋にとってサービス付き高齢者向け住宅は老人ホームのような「施設」というイメージなので入居募集を依頼しても断られたり、上手く入居者の斡旋をしてくれない場合もあります。

「じゃあどこにお願いするの?」

と思いますよね。

依頼する所としては、「老人ホーム紹介業者」になります。

この業者は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者施設への入居者の紹介を仕事としている会社です。

ここに依頼して入居者を募りましょう。

また、役所に「高齢障害支援課」という高齢者の対応窓口になっている所がありますので、そこに新しく建てたという事をお伝えするというのも良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、サービス付き高齢者向け住宅を建てようと検討中の方が失敗しないために知っていただきたい現状と注意点についてご説明いたしました。
少しでも役立てて頂ければ嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。